静岡諸玩具




  おかんじゃけ   

静岡市 久住山洞慶院の祭日(7月19日〜20日)に 境内参道で売られる竹製の玩具
若竹の先の部分を叩いて麻糸の様につぶし 彩色したもので
「おかん」は髪の毛 「じゃけ」は竹の転訛といわれ
お髪下げ お髪竹の訛とも考えられます
この地方では 様々な呼び名で呼ばれてきましたが
元来 子供たちの遊び道具として 男の子は 合戦ごっこの采配としたり
鬼ごっこの時に持っていたら鬼に見つからないとか 
禅僧の払子に見立て 和尚さんの真似をしたりしたそうです
女の子は これを毛髪に見立て髪結いごっこ 姉様遊びに用いたということです
野趣に満ちて類型がなく 縁日に売られるのは珍しいそうです
洞慶院が女性の疾病に効あらたかとのことから
女性の下の病のおまじないになるとも言われています 
若竹の幹の表皮をはいだ 肉部を叩きほぐしただけの
自然な素材の造形力と その豊かな想像力に
数ある郷土玩具のなかでも 比類なきものの一つといれています



藤枝達磨

三代目・内田作太郎が張子だるまを作り始めた明治30年以降、
当時志太地区唯一のだるま作者だったこともあり、
藤枝だるまは販路をのばし 
有名な虚空蔵尊のだるま市や清水寺のだるま市で売られました。
その達磨を 焼津のさかな屋の山口乙吉が虚空蔵尊のだるま市で買い
たまたま乙吉の家に滞在していた文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が目に留め
八雲は だるまに願掛けして 目入れをする日本の風習を知ることになりました。 
八雲のこの時の体験は 小説『乙吉の達磨』のなかに書かれています 
八雲に愛された藤枝だるまは 両びん(髪)が8の字に描かれていることが特徴で、
これはだるまの「七転び八起き」 縁起の良い末広がりの八の字に通じるものから
以後八雲にちなんで「八雲だるま」とか「乙吉だるま」とか呼ぱれるようになったということです



 いちろんさん

静岡市清水区 清水の首人形・串天神
2センチほどの土製の首を 竹串につけたもので
東海地方では 首人形としては唯一と云ってよいものです
由来は 保元の乱で敗れた源氏の鎭西八郎為朝が 伊豆大島に流されるさい
大時化の為 清水のに港の月美里稲荷の社に逗留し
手厚いもてなしを受け 船出の際に 遺品にと 愛用の石印と笠を奉納しました
以来 町の人々は豪勇無双の為朝にあやかり わが子の生育を祈り
稲荷へ参詣して 子供の生育を祈り 傘かぶりの行事と共に
為朝の首人形が奉納されるようになりました
その後 夜泣きの虫封じまじないとして 用いられるようになったと云われます

古くから地元で愛され親しまれてきたこの首人形は
江戸時代 制作者の 初代 堀尾市郎右衛門によって創始されて
『いちろんさんのでっころぼう』と云われ
武者物 天神 お多福 鬼 河童 狐 狸 など多種あり
その表情は ユーモアにあふれています



  清水の串天神   

 初代 堀尾市郎右衛門によって創始されたころよりの木型が残されており
七代 堀尾耕太郎氏が戦後復元したものです
黒 白 赤三色の天神と一回り小さい黒天神を含めて4体一組となって
白天神のみが髭が描かれています
もともとは串には差してなかったのですが
郷土玩具研究家の 金井虹二氏の提案で いちろんさんの天神らしく串仕立てにしたそうです



森のブカ凧

土屋の殿様(土屋主税 江戸幕府の旗本で 忠臣蔵で有名な赤穂47士討ち入りの際、
吉良邸の隣家で高提灯を掲げとされる人物)の
嫡子誕生のお祝いによって上げられたので「武家凧」ととか
「ブカブカ」と上がる様子から「ブカ凧」と呼ばれていると云われています。
横に細長い長方形で「うなり」を付けたった2本の糸目で上げるという特徴があります。
江戸時代からの森町独自の伝統の凧です。
製作の亀八では 他に張り子の大黒だるまや石松人形もありますが
凧製作が中心で あまり作られていないようで
あくまでも地域に根差した伝統行事の一環としての凧作りで
郷土玩具としての感覚はなく 蒐集家には そっけない対応のようです


   

 天竜(浜北)の風車 

   

竹の皮を薄く細くそいで 芯の部分を竹篭状に丸くあ編み
竹ひごの一端をを外へ放射状に差しだし
8本の矢の尖端に 赤 黄 緑 などの色紙の角片を貼ったもので
繊細で抒情的な 優しさあふれる風車です
いつごろ発生したものかは判りませんが
昔 天竜川が氾濫した際 補修に駆り出された労働者が
護岸用の蛇篭を編む余暇に考え 
子供に与えたのが起こりと云われています
荒くれの土木作業の中から生まれた 郷愁と愛情あふれる
優さしい 真の郷土玩具と云えるかもしれません
制作者は 浜北市の 松下定男さんです


 

 森の石松 木地玩具





長さ 約15.5センチ 高さ 約 8センチ
(藁の部分も含めてです)

寸又峡天下泰平土鈴


静岡県榛原郡川根本町寸又峡温泉 で
かつてお土産に売られた土鈴の様です
織田信長と豊臣秀吉の土鈴が結び付けられています
NHKKの大河ドラマに ぴったりの楽しい土鈴です
何で 又峡温泉のお土産なのか 少々疑問???