浜松張子

 明治の初年 明治維新により禄を離れた 旧幕臣三輪永保(ひさやす)が
反古紙を使って張子玩具を創作し 江戸風の張子玩具を作ったのが始まりで
子どもの永智に 張子の技術を習得させて
父子二代でいかにも武家好みの 気品有る独自の張子を製作しました
その後 第二次大戦の戦火で木型を全て焼失してしまいましたが
妹の二橋志乃により木型などが復元され 製作が復活し引き継がれました
現在は 志乃の息子さんのお嫁さんの加代子さんが
四代目として 浜松張子の伝統を守り続けています
浜松張子は 動物を主体とした作品が多く
ころがしと呼ばれる 車ものや 首振り 起き上がりといった
 動きを取り込んだ玩具に特色があり
物語や童話的要素が加わり 
子供達に夢を育む玩具としても 優れていると思います
 

4代目 加代子さん


ころがし

張子の本体部分の底部に錘を入れたものに
軸を通して両側に厚紙の車輪をつけ
押すと 倒れずに転がる様にしたものです
古くより 狸車と犬車 ・兎車が製作され
加代子さんの時代になり 
十二支のころがし(木型製作・岩井義尚氏)を揃えられました
   
   

雛人形

江戸の風情を感じさせる素朴な衣装です
二橋家の家紋の千鳥を意匠に使ったかわいいお雛様と
浜松張子伝統の意匠のお雛様です

 

達磨

市内の秋葉神社の祭礼などで売られたもので
関東系の白目達磨の 西端の達磨とといわれています

鉢巻き達磨は西日本で多く見られますが
その境目は やはり この浜松の様でなんとも可愛い達磨です

酒買い達磨は 自らを映したような人形で 笑ってしまいました
   
   

犬張子

東京の江戸張子に比べて お顔が少し尖っています
小さい犬張子の首の飾りが長く印象的です

柿乗り猿

浜松張子の代表ともいえる作品で 首振りの猿が
起き上がりになった柿にまたがり
所有を主張している様にも思えます
志乃さんと加代子さんの作品を並べてみました
少し大きめに作っていただいたものが加代子さんの作品です
↑志乃さんの作品 
加代子さんの作品↓



他の産地のものに比べて首から頭の部分が長く
女性の製作者の作られた作品では有りますが
男性的な力強さの溢れる 魔よけの首振りの虎です














饅頭食い人形

裃の片方を脱がせて リラックスをしてお饅頭を食べさせましょうと
加代子さんの アイデアから産まれた可愛い饅頭食い人形です

 

浜松張子 饅頭喰い人形は
各地の土人形に お願いした中では 異色のものとなりました

出来上がった饅頭喰い人形の愛らしさと
その出来栄えに 大変な反響!!!! 

楽しい 饅頭喰いの誕生に拍手喝采です


Nさん

張子の饅頭喰いは珍しく、嬉しく思います。
饅頭喰人形も、浜松の特徴が良く出ており佳作だと思います。

Oさん

まさか饅頭喰い人形の張り子が出来上がるとは夢にも思いませんでした
ハリカー(張子マニア)の私にとって最高の誕生日プレゼントです。
このお侍さん、頬っぺたがほんのりピンク色で超可愛いです

Iさん

素晴らしい出来栄えです
もしも「創生玩具大賞」というのがあるなら、
今年の大賞は間違いなくこの作品でしょう。
饅頭食いにちょんまげを付けなければ気が済まなかった二橋さんに、
祝杯を捧げたいと思います。
浜松張子は、女性の作ならではの母性的な温かみに満ちていますね

そればかりでなく、今回、饅頭食いの出来栄えを見て、
二橋加代子さんが張子界の並びなき名工であることを改めて再認識しました
考えてみたら、饅頭食いも、福助同様、
底に重みをつけて起き上がり仕立てにしても面白いですね

Tさん

可愛らしい饅頭喰いさんになりました。
ちょんまげがあるところがまた面白いです
ちょっと大人になった饅頭喰いさんです

これはちびっ子剣士か、
私塾の書生さんかと思っていましたが、
お侍さんでしたか!

なるほど、二橋さんのセンスは、
少女のような夢に溢れています。。

二橋様のユーモアがわかると、ますますいとおしくなります
浜松張子 やはり物語があったのですね。

二橋さんらしいです。

Pさん

この子の袴は肩掛けになっていますね。
和服のことはよくわかりませんが、珍しい気がします
この饅頭食いは、福助の派生型だと思いますが、
確かに、肩掛け(片掛け?)の袴姿は珍しいです

岐阜の白鳥土鈴館の遠山館長さんも お願いした時点より 
お会いする度にどんな人形が出来てくるのかなと
楽しみで楽しみでしようの無いご様子で
人形を見るなり 絶句!
()
暫らく人形を握りしめられたまま 
固まってみえました

本当に良い人形をありがとうございましたと
何度もお礼を言われ
こちらが恐縮するほどでした

馬車


古い玩具の写真から再現されたものです

趣味家の方々の 古い写真よりの 再現依頼を 
「そんなん ようせんわ」 と云いながら
楽しそうに 試行錯誤しながら 
創作されてみえます

春駒



昔の子供は 柄にまたいで
ハイハイドードー と遊んだんですね

鯛車

小じんまりとまとまった感がある鯛車です
シンプルなフォルムがどこか控えめに感じて
思わず 微笑みが湧いてきます

鳥神楽



太鼓に描かれている まるいち ㊀について
「雪だるま」誌に 興味深い記載がありましたので
紹介させていただきます

しし舞は 大神楽とほとんど同じもので 
昔は伊勢派と熱田派があり 
関東方面へは熱田神宮の御師出身の鏡味家が伝え
江戸浅草に居住して家元になった
その後継者が 丸一小仙社中で
1520年ころ 伊勢で 飢饉疫病がはやり
それを追い払うため 獅子頭を祭り 舞ったのが始まりで
その後 江戸の町を悪魔払いとして歩いた
昭和の初めごろまで 近県から東京へ出てきた
しし舞芸能者は 鏡味家へ冥加金を納め
許可証として 太鼓にかける布をもらって 緑に白抜きの 
○に一の字を染め抜いたものをつけて興行しないと
もぐりとして厳しく取り締まられた

張子造りで 鳥神楽を題材にして
それを作って売るためには
ちゃんと許可をもらわないと いけなかったようです
いってみれば 著作権!
現在は どうなっているのでしょう
今度二橋さんに聞いてみましょう(笑)
どんな商売にでも 決まりがあるのは現代でも同じですね
㊀マークが 前から気になっていたので 
やっと わかりました 

鳥神楽 三人神楽

越後の角兵衛獅子をモデルにしたもので
鳥の羽を頭につけた越後獅子が
台車の上で逆立ちしている姿です
三人神楽は 浜松のものの中では
非常に小さい部類に入ると思いますが
神楽をこの小さな張り子人形から
垣間見る楽しみができました

海老の張り子 三種


おめでたい御鏡餅にぴったり
猫が狙っているようにも見えますが・・
折れてしまいそうな 髭と足
取扱注意です
 

招き猫 

ピンクが入った何とも色っぽい猫です
ちょっと はにかんだような 上気したような表情です
浜松には この11センチのサイズのものしかなく
小振りで控えめな 浜松張子の一面を見たような…
大きな招き猫を 作ってもらえないものか
交渉してみないといけませんね
 

 

天神さま



整った形の ふっくらとした天神様で
威厳がありながら 温かみも感じられます 
   


虎の起き上がり

この虎の起き上がりは 『柿乗り猿』をヒントに
虎を玉に乗せたものをお願いしたのですが
体が一体となって しまいました
一応 起き上りと云う事でしたが 
実際には 横にしても立ち上がりません(笑)
獲物を見つけて身構えているような雰囲気もあり
面白い作品になりました

狆車

かつて 作られていた狆車を復刻しようと
新しい木型で チャレンジされています
不具合が多く とても気に入ったものが出来ない
とおかんむりの加代子さん
四苦八苦されながら作られたものを 
試作品と云う事で分けて頂きました
出来上がってきた木型では 
前足についている車が うまく取り付けられず
犬とのバランスも取れず うまくいかないとの事
動かして遊ぶおもちゃは 
バランスや操作性も考えなくてはいけないし
なかなか難しいようです
でも この狆車 なかなかの出来で
これで 首振りの狆なら 申し分なしとも思うのですが
完璧に仕上げないと気が済まないよです
張子に対する情熱はまだまだ熱く 頑張られています


象車


いつ頃から浜松で象が作られていたのかはわかりませんが
昔は 象の本当の姿を知る人も少なく 
それを張り子にして 見た事のない人も張子の象を見て
想像していたのでしょう
昔の人の 象のイメージを今に伝える
貴重な張り子なのかもしれません