2006/07/03

近江のおばたでこ

           小幡人形 八代目細居文造のこどもたち


小幡でこ 八代目細居文造作

誰かが私を呼んでいる
いにしえからの人形たち
しずまりかえった古い街道を
でこが、一杯竝んでる

                細居文造


小幡でこ 八代目細居文造作

滋賀県に残る唯一の土人形
それが 小幡土人形(小幡でこ)です
旧中山道沿いにあり 近江鉄道五個荘駅から北へ少し歩いた所
踏み切りを越えて左側のしもた屋
看板も何も出ていないお宅をのぞき込むと
古い木製のショーケース?の中に素朴な人形達が並んでいました
伏見の人形の様に洗練されていない
名古屋の土人形のような繊細さもない
まさに『でこ』が そこにありました
子供達が実際に手に持って遊んだ そんな気がする素朴さです
彩色も 原色が好んで使われておおらかです
何度か足を運んで伺っているうちに
細居さんが片目で絵付けをされていることを知りました
片目では 顔の表情が中々バランス良く描けなくて
苦労すると話しをされていました
人形は時代を見ているんだとも おっしゃられて
ドラえもんを作ったりされて 笑ってしまいました
地域の行事や伝承にまつわる物も沢山作られていて
近江の歴史の上にある土人形です
細居さんの人柄そのままの おおらかな素朴な人形達です

25年ほど前に文造翁にお願いして
  行程が判る様に四体の人形をお願いしました
もちろん彩色したものがよいのですが
それぞれに 何か妙に個性がある様に思うのは
思い入れが強すぎるのかもしれませんね
型押ししただけのもの 素焼き
下塗り(胡粉) 完成品

現在は 九代目の源悟さんが後を継がれています
伝統の技が末永く引き継がれていく事を
祈念してやみません

小幡でこの由来

小幡でこは300年程の歴史があるといわれていますが
「うなゐの友」(明治から大正にかけて出版)や
「日本郷土玩具 西の部」(昭和5年発行)にはまったく紹介もされず
昭和15年の有坂與太郎著「郷土玩具展望」上巻にて
初めて紹介されたとのこと
古くから 小幡でこには 『古作無し』 と云われておりますが
本来 小幡でこは 伏見の写しから派生したもので
古いものに関しては 伏見人形として売られていたようで
伏見の 工人が伏見の型を使い 小幡で作ったものなので
古いものに関しては 小幡人形と伏見人形を識別するのは至難の技と
専門家の方から聞きました
ゆえに近年では『近江伏見』という言葉で表現されることもあるようです


小幡人形の ページを新たに作りましたので
小幡でこの館(コレクションルーム)
よかったら覗いてください




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