2005/9/1

名古屋土人形
よもやま話 五


音ひろ


野田さんの土人形や土鈴を愛してやまない
あごくんより 寄せられた 人形と想いです

ちいさきものはみなうつくし (枕草子より)

小さく、美しく、穢れのない野田さんの人形たち。。

野田さんの作品は、理屈ではないですね。
一目見て、その虜になってしまうかどうかの問題です。


信じられないことですが、
1977年に「日本の土鈴」(徳間書店)で大きく紹介されるまでは、
郷土玩具界でもほとんど注目されていなかったというのですから、
驚きます。

そういう僕も、野田さんがご存命の頃から
郷土玩具を集めてはいましたが、
その作品には、全く出会うチャンスがありませんでした。

最初に手にしたのは小さな鯛の土鈴です。
僕は、食べ物としてもも鯛が大好物で、
鯛のおもちゃが蒐集のメインの一つでもあります。
おもちゃらしい味わいに満ちた野田さんの鯛には
、一目見て惚れ込みました。
今思えば、赤一色の簡素な鯛であれだけ感動したのですから、
その後に出会った、
饅頭食いや三番叟や舞妓などを手にして、
天にも上るような感動を覚えたのは、
我ながら無理もないことです。

以来、雨の日も風の日も、野田さんの人形を探しました。
すでにご高齢であった
ご本人からの入手は不可能になってからの事です。
野田さんを尋ねて三千里、
野田さんの人形があると聞けば、
京都へも東京へも飛んでいきました。
最初の出会いから20年になると思います。
もっとも、現在でもそれほど豪語するような蒐集とは言えませんが、
可愛い子供たちや動物など、
それなりに身の回りに集まって来てくれました。
生きている限り、
日々悲しい事、つらい出来事も沢山ありますが、
何とか大丈夫です。
野田さんの人形たちが、
いつも変わりなく穢れない瞳で微笑んでくれます。
諭すことも、励ますこともなく、
ただ静かに無垢な微笑で
、一番大切な事をそっと教えてくれるのです。



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