玩具の世界では 土製とともに張子製が 長い間主役を務めていたもので
江戸時代までの玩具を見ると 張子細工が非常に多いのです
江戸や京阪の元禄ごろの文献を見ても はりこ師またははりぬき人形という文字が
しきりと見えます その中でもはりこのだるまや はりこの首振り虎は全国各地で作られました
はりこの軽いのを応用して お守りをつけて起き上がらせ また首を振らせたことは
機械玩具の皆無だった当時としては なかなかよい思いつきでしたので 流行したのでしょう
はりこのだるまは最初 「起き上がり小法師」といって 中国から伝来して歓迎されたもので
もとはだるまの姿ではありませんでした のちに誰かがだるまに姿を変え
起き上がるという縁起や 中には願いが叶ったら目を入れるという目無しだるまを考案したもので
多分に信仰的な意味にも用いられました
緋の衣をあらわしただるまは赤塗であったので 疱瘡にかかったときのおもちゃにも用いられました
『日本のおもちゃ 山田徳兵衛著』より
張子玩具とは 紙を木型に何枚も張り重ねて 乾燥後に抜き取り
それをまた張り合わせてその上に胡粉を塗り さらに絵の具で彩色して仕上げた細工物です
他にも 土人形と同じく 原型凹型を用いて その内側に紙を張ってから抜き取り
同じように張り合わせて作る技法もあります
室町時代 中国より伝わり 江戸時代に入ると 土焼きより軽くて丈夫で
量産に適する張子の利点が迎えられて盛んに作られるようになりました
産地は全国に分布していますが 材料とする反故紙の需要から
商家の大福帳の廃物などが入手しやすい城下町や紙生産地に隣接した地域が中心になっていて
生地玩具が 山間部地方を多く産地としているのと 対象となっている
『郷土玩具辞典 斎藤良輔編』より
張子は 土人形とともに 郷土玩具の双璧といえるもので 全国各地で作られています
張子には 土人形にはない 柔らかさがあるように思います
紙独特のふうあいがあり 軽く動きもあるので からくり玩具の制作にあっています
だるま とら 首振り 春駒 お面など 何でもありの楽しい玩具です
土物は割れたり欠けたりヒビが入ったりします
張子も凹んだりする弱い玩具です 手持ちの物も結構痛んだりしているのですが
大事にしていきたいと思っています
少しですが各地のの張り子を 紙製のおもちゃとともに 紹介できたらと考えています
金魚ねぶた〔青森県青森市〕 |
扇ねぷた〔青森県弘前市〕 |
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金ペコ〔岩手県花巻市〕 |
六原張子〔岩手県金ヶ崎町〕 |
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仙台張子〔宮城県仙台市〕 |
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三春張子〔福島県郡山市〕 |
磐梯熱海張子〔福島県郡山市〕 |
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会津張子〔福島県会津若松市〕 |
野沢張子〔福島県会津若松市〕 |
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西会津張子〔福島県会津若松市〕 |
久の浜張子〔福島県いわき市〕 |
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三角ダルマ〔新潟県水原町〕 |
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五箇山張子〔富山県〕 |
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八幡起き上がり〔石川県金沢市〕 |
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黄鮒〔栃木県宇都宮市〕 |
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高崎張子〔群馬県高崎市〕 |
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春日部張子〔埼玉県春日部市〕 |
船渡張子〔埼玉県越谷市〕 |
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柏張子〔千葉県柏市〕 |
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江戸張子〔東京都〕 |
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鎌倉張子〔神奈川県鎌倉市〕 |
平沼神社羊張子〔神奈川県横浜市〕 |
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静岡張子〔静岡県静岡市〕 |
浜松張子〔静岡県浜松市〕 |
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三河のおころりん〔愛知県豊川市〕 三河の郷土玩具の部屋へ |
菟足神社の鍾馗面〔愛知県豊川市〕 三河の郷土玩具の部屋へ |
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名古屋張子〔愛知県名古屋市〕 名古屋の郷土玩具の部屋へ |
竜泉寺串馬〔名古屋市守山区〕 名古屋の郷土玩具の部屋へ |
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戌張子〔愛知県一宮市〕 尾張の郷土玩具の部屋へ |
犬山でんでん太鼓〔愛知県犬山市〕 尾張の郷土玩具の部屋へ |
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鯰押さえ〔岐阜県大垣市〕 |
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大入道〔三重県四日市市〕 |
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草津張子〔滋賀県草津市〕 |
彦根張子〔滋賀県彦根市〕 |
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嵯峨面〔京都府京都市〕 |
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大阪張子〔大阪府大阪市〕 |
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姫路張子〔兵庫県姫路市〕 |
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高松の張子〔香川県高松市〕 讃岐の郷土玩具の部屋へ |
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姫だるま〔愛媛県松山市〕 伊予の郷土玩具の部屋へ |
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高知県の張り子〔高知県高知市〕 土佐の郷土玩具の部屋へ |
香泉人形〔高知県高知市〕 |
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玉島張子〔岡山県倉敷市〕 |
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常石張子〔広島県沼隈町〕 |
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長門張子〔山口県萩市〕 |
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鳥取張子〔鳥取県鳥取市〕 |
はこた人形〔鳥取県倉吉市〕 |
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松江飾り馬〔島根県松江市〕 |
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宇土張子〔熊本県宇土〕 |
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鹿児島神宮初鼓〔鹿児島県隼人町〕 |
薩摩の首人形〔鹿児島県隼人町〕 |
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沖縄張子〔沖縄県那覇市〕 |